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2026.07.10 コラム

現場ノート#019|「24年間で一番怖かったのは、対象者ではない。」──現場で本当に警戒していた“油断”

梅澤 賢樹|総合探偵社R.A.D 代表・探偵歴24年目

現場ノート#019 24年間で一番怖かったのは、対象者ではない──現場で本当に警戒していた“油断”

「24年間で、一番怖かった対象者は誰ですか?」

依頼者や取材の方に、ときどき聞かれる質問です。

警戒心が強い人。

元探偵だった人。

警察官だった人。

格闘技経験者だった人。

そんな答えを期待されることが多いのですが、私の答えは少し違います。

私は24年間で、「人」を一番怖いと思ったことはありません。

本当に怖かったのは、自分たちの“油断”です。

調査が順調な日ほど、危険は近づいてくる

調査がうまくいっている日に限って起きる、不思議なことがあります。

対象者を見失わない。

写真も撮れている。

連携も取れている。

「今日は完璧だ。」

そう思った瞬間に、予想もしないことが起こります。

24年間で、何度も経験しました。

だから私は、順調な日ほど気を引き締めます。

「この人なら大丈夫」——一番危険な言葉

現場には、一番危険な言葉があります。

「この対象者は警戒していないから大丈夫。」

実は、これほど危ない考え方はありません。

人は、突然行動を変えます。

急にコンビニへ入る。

急にUターンする。

急に知人へ電話をかける。

急に忘れ物を取りに帰る。

それは浮気を隠すためではなく、ただの日常です。

でも尾行する側からすると、その「日常」が想定外になるのです。

「慣れ」は技術を鈍らせる

若い頃は、毎回緊張していました。

車へ乗るときも。

カメラを持つときも。

張り込みを始めるときも。

でも経験を積むと、慣れます。

これは良いことでもあり、悪いことでもあります。

慣れることで冷静になります。

でも同時に、「いつもの現場」という感覚も生まれます。

私は24年間、その“慣れ”と戦ってきました。

ベテランほど確認する

新人調査員は、調査資料を一度確認して「見ました。」と言います。

ベテラン調査員は、「もう一度確認します。」と言います。

時間。

車両ナンバー。

服装。

待ち合わせ場所。

全部知っていても、もう一度確認します。

確認しすぎて困ることはありません。

確認不足は、一度で調査を終わらせます。

「今日は簡単ですね」が一番危ない

現場で聞きたくない言葉があります。

「今日は簡単そうですね。」

私はその言葉が出た瞬間、少し緊張します。

簡単な現場などありません。

住宅街なら住宅街の難しさがあります。

駅には駅の難しさがあります。

地方には地方の、都内には都内の難しさがあります。

24年間、「簡単だった現場」を思い出そうとしても、一つも出てきません。

一度だけ、全員で反省した日

忘れられない現場があります。

対象者は、ほぼ予定どおりに動いていました。

順調でした。

ところが、最後の最後で、対象者が予定外のスーパーへ入りました。

全員が、「買い物だろう。」そう思いました。

ところが店内で、不貞相手と合流していたのです。

幸い証拠は取得できましたが、全員で反省しました。

「思い込みがあった。」

あの日のミーティングは、今でも忘れられません。

調査員同士で言い合うこと

現場では、調査員同士でこんな言葉をよく掛け合います。

「決めつけないでいこう。調査に絶対など存在しない。」

今日は会わないかもしれない。

今日は会うかもしれない。

ホテルかもしれない。

食事だけかもしれない。

帰宅するかもしれない。

全部残しておく。

その方が、結果的に視野が広くなります。

一番信用していないもの

24年間で、私が一番信用していないものがあります。

それは、自分の予想です。

経験はあります。

勘もあります。

でも、現場は何度も予想を裏切ります。

だから私は、「たぶん。」という言葉を、現場ではほとんど使いません。

24年間で変わらなかったこと

どれだけ経験を積んでも、現場へ入る前には、少し緊張します。

「今日は何が起きるだろう。」

そう思います。

その緊張感があるうちは、まだ探偵を続けられる。

私はそう考えています。

もし、「今日は余裕だ。」と思うようになったら、

現場へ出る資格はないのかもしれません。

編集後記

24年間。

たくさんの失敗もしました。

そのほとんどは、技術不足ではありませんでした。

「もう大丈夫。」そう思ったことでした。

だから私は、今でも現場へ出る前に、自分へ言い聞かせています。

「今日も初めての現場だと思え。」

この言葉だけは、探偵になった頃から、一度も変えていません。

次回予告

現場ノート#020「探偵は、依頼者より先に泣いてはいけない。」──24年間で一番感情を抑えた日

証拠を見た依頼者が涙を流す。その場に立ち会う探偵は何を考えているのか。24年間で最も忘れられない報告の日についてお話しします。

梅澤賢樹(総合探偵社R.A.D 代表・探偵歴24年目)

執筆者

梅澤 賢樹(うめざわ まさき)

総合探偵社R.A.D 代表|探偵歴24年目・年間1,500件超
埼玉県公安委員会 届出 第43230057号

24年間、現場の最前線に立ち続ける現役探偵。この連載は、個人が特定されないよう再構成した「現場の本物」の記録です。

👤 プロフィール・監修方針📊 浮気調査白書2026

連載「現場ノート」— 探偵歴24年目、現場の本物を綴る

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