「既婚者同士で恋愛関係に陥るなんて、自分には無縁」と思っている方も多いかもしれません。ですが、実際の探偵業務においては、この“ダブル不倫”に関する案件が年々増加傾向にあります。一般的な不倫に比べて、当事者が既婚同士という点が大きな特徴です。互いの家庭を巻き込み、周囲にも深刻な影響を与えやすく、ひとたび問題が表面化すると、泥沼化してしまうケースが少なくありません。

今回の探偵コラムでは、探偵歴20年・年間300件以上の浮気・不倫相談を受ける筆者が、ダブル不倫に潜む危険性やリスク、具体的な泥沼事例、そしてそこから抜け出すためのヒントを詳しくお伝えします。


目次

  1. そもそもダブル不倫とは?
  2. ダブル不倫のリスクとは
    • 2-1. 家庭崩壊が二重で起こる可能性
    • 2-2. 子供への心理的影響
    • 2-3. 仕事や社会的地位への悪影響
    • 2-4. メンタルヘルスの悪化
  3. ダブル不倫だと慰謝料が取れない?
  4. 逆に慰謝料を請求されるリスク
  5. 双方から慰謝料請求があった場合の法的判断
    • 5-1. 不貞行為の度合いと証拠の重要性
    • 5-2. 慰謝料算定で重視されるポイント
    • 5-3. 相殺は稀。むしろ二重請求のリスク
  6. ダブル不倫をやめさせる方法
    • 6-1. 探偵や弁護士、カウンセラーへの相談
    • 6-2. 冷静な話し合いと“選択”
    • 6-3. 周囲のサポート体制を活用
  7. どん底から抜け出した実例:ある夫婦の再出発
  8. まとめ:家族の未来を守るために

1. そもそもダブル不倫とは?

ダブル不倫とは、既婚者同士が、それぞれの配偶者以外の相手と恋愛関係や性的関係を持つことを指します。単なる不倫(既婚者と独身者)と違い、関係を持つ二人の背後にそれぞれ家庭や子どもが存在するため、問題が表面化したときのインパクトははるかに大きくなります。

  • 双方に配偶者や子どもがいる
  • 不貞行為がバレた場合、2つの家庭が同時に危機に直面
  • 法的・道徳的側面で通常の不倫より深刻化しやすい

さらに、最近はSNSやマッチングアプリをきっかけに既婚者同士が出会い、身体の関係に発展するケースも増えています。職場やPTA、地域コミュニティなどで知り合うパターンだけでなく、ネットを介してあっという間に親密になってしまう事例も少なくありません。


2. ダブル不倫のリスクとは

2-1. 家庭崩壊が二重で起こる可能性

ダブル不倫は、当事者のそれぞれの家庭に重大な亀裂をもたらします。通常の不倫では、不貞行為がバレると片方の家庭が崩壊するリスクがありますが、ダブル不倫では二重に家族が破綻する可能性が高いのです。
夫婦双方が不倫をする場合も稀にありますが、多くは片方だけが不倫に走り、その相手もまた既婚者というケースです。結果的に、被害を被る家族が2組同時に生まれるため、問題が表面化したときの混乱は相当なものになります。

2-2. 子供への心理的影響

ダブル不倫が発覚した場合、もっとも大きな心の傷を負いかねないのが子供です。親が不倫をしていたことを知ると、信頼していた家庭が一瞬にして崩れ去るような衝撃を受けます。さらに、相手の家庭にも子供がいる場合は、その子供たちにも計り知れないストレスとトラウマを与えます。
「親が信じられなくなった」「家庭内がギスギスして心が落ち着かない」「学校や友人に知られたら恥ずかしい」など、子供は多くの葛藤を抱えることになるのです。

2-3. 仕事や社会的地位への悪影響

ダブル不倫の当事者同士が同じ職場に勤務している、または取引先の関係者であるケースも少なくありません。会社に不倫関係が知れ渡った場合、信用失墜や左遷、退職勧奨など、キャリアを失う大きなリスクを背負うことになります。
また、地域コミュニティやPTAなどで不倫関係が露見すれば、周囲の冷たい視線や風評被害に晒され、日常生活が激変する恐れも十分に考えられます。

2-4. メンタルヘルスの悪化

ダブル不倫は常に「バレたらどうしよう」「家族を失いたくない」という強い不安と隣り合わせです。罪悪感やストレスが積み重なり、うつ状態不眠症摂食障害など、メンタルヘルスに深刻な悪影響を及ぼす場合も珍しくありません。
加えて、もし発覚した場合には、相手からの責めや家族の怒り、職場の視線など、さらに大きな精神的ダメージを被ることになります。


3. ダブル不倫だと慰謝料が取れない?

よくある誤解のひとつに「ダブル不倫なら互い様だし、慰謝料は請求できないのでは?」というものがありますが、これは間違いです。法律的には、不倫によって精神的苦痛を受けた配偶者は、加害者に対して損害賠償(慰謝料)を請求する権利を有しています。

  • 不貞行為があったかどうか
  • 証拠が揃っているか
  • 精神的苦痛の程度

これらが裁判所や調停で認められれば、ダブル不倫であっても「お互いに不倫をしているから相殺」という理屈にはならず、各配偶者が独立して慰謝料を請求できるのが基本的な仕組みです。


4. 逆に慰謝料を請求されるリスク

ダブル不倫の場合、自分の配偶者が「被害者」として相手に慰謝料を請求する可能性があるだけでなく、相手の配偶者が「あなた」に慰謝料を求めてくるリスクも高いということを忘れてはなりません。

  • 配偶者A(あなた):相手の不倫パートナー(既婚者)を訴える場合がある
  • 配偶者B(相手):あなたを訴える場合がある

このように2方向から損害賠償を請求される“ダブル請求”の事態に陥る可能性があるのが、ダブル不倫の厄介なポイントです。また、相手の配偶者から「離婚」「多額の慰謝料」「親権争い」など一気に攻め立てられると、精神的にも経済的にも一気に追い込まれる危険性が高まります。


5. 双方から慰謝料請求があった場合の法的判断

ダブル不倫が明るみに出ると、場合によっては両方の配偶者が同時に慰謝料請求をしてくることもあります。ここでは、その際に考慮される主なポイントをもう少し詳しく見てみましょう。

5-1. 不貞行為の度合いと証拠の重要性

慰謝料が発生するかどうかを左右する最大の要因は、「不貞行為の事実をどれだけ明確に証明できるか」です。

  • 肉体関係があったことを示す写真や動画
  • LINEやメールでのやりとり(日時・場所の具体的記録)
  • ホテルの利用記録や領収書

こうした証拠が揃っているほど、裁判や調停の場で不貞を強く立証でき、慰謝料が認められやすくなります。

5-2. 慰謝料算定で重視されるポイント

法的な場で慰謝料額を決めるときは、以下のような点が考慮されます。

  • 結婚期間の長さ
  • 子どもの有無(年齢など)
  • 不貞行為が継続していた期間
  • 離婚の有無(不倫が原因で離婚に至ったかどうか)
  • 経済状況(加害者・被害者の収入や資産)

ダブル不倫では、2つの家庭に及ぼす影響が大きく、精神的苦痛が増幅しやすいと判断されるケースも多くあります。

5-3. 相殺は稀。むしろ二重請求のリスク

同じタイミングで双方から訴訟が起こっても、原則的には「相手が不倫しているのだから、こちらも不倫していたのはお互い様だ」という主張は認められにくいのが現実です。
実務では、相殺が行われるケースはごく限られた特殊な状況に限られ、多くの場合は各配偶者が独立して慰謝料を請求することが可能です。つまり、両方からの二重請求が成立しやすいという、まさに泥沼状態に陥りやすいわけです。


6. ダブル不倫をやめさせる方法

6-1. 探偵や弁護士、カウンセラーへの相談

ダブル不倫に気づいた、あるいは自らがその関係に陥って抜け出せない状況なら、まずは専門家への相談を検討しましょう。

  • 探偵: 不倫の証拠を適切に押さえる。
  • 弁護士: 慰謝料請求・離婚問題など法的手続きの相談。
  • カウンセラー: 夫婦間のコミュニケーション改善、メンタル面でのサポート。

特に、証拠がないまま感情的に追及しても、相手に「そんな事実はない」と開き直られる可能性が高いです。探偵の調査報告書など、法的に通用する客観的な証拠を得ることで、話し合いを有利に進めることができます。

6-2. 冷静な話し合いと“選択”

証拠をつかんだら、まずは当事者と冷静に話し合う場を設け、「やめるか、法的処置(慰謝料請求・離婚など)に進むか」という厳しい選択を迫ることが有効な場合があります。
ここで感情的になってしまうと、相手も防衛的になり、問題が長期化・泥沼化しやすいです。あくまで論理的かつ法的リスクを理解させることが、ダブル不倫を終わらせるための重要なポイントです。

6-3. 周囲のサポート体制を活用

家族や信頼できる友人、あるいは職場の上司など、状況を理解してもらえる人がいれば、サポートを得ることも大切です。第三者の客観的な視点が加わることで、当事者同士が抱え込むよりも早期に解決策を見出しやすくなります。
とりわけ、お子さんがいる場合は祖父母や親戚、スクールカウンセラーなどとも連携し、子どもの心のケアを最優先に考える必要があります。


7. どん底から抜け出した実例:ある夫婦の再出発

7-1. Aさん夫婦のケース

  • Aさん(夫・40代):会社員。結婚15年目で子ども2人。
  • Bさん(妻・40代):パート勤務。地域の友人と頻繁にランチや習い事に参加。
  • Cさん(不倫相手・既婚男性):Bさんと同じ地域のイベントで知り合う。妻と中学生の子ども1人。

7-2. ダブル不倫の発覚

最初は「ママ友同士」の集まりで仲良くなったBさんとCさん。夫婦間のコミュニケーション不足や不満をお互いに相談し合ううちに、次第に親密な関係へと進展。
Aさんは妻のスマホにロックがかかったり、夜の外出が増えたりするのを不審に思い、探偵に調査を依頼。数週間で2人の密会現場を抑え、ホテルへの出入り、SNSでのやりとりの証拠を確保した。

7-3. 泥沼と再出発

Cさんの妻も同時期に夫の行動を怪しみ、同じ探偵事務所に相談していたため、両方の家庭でダブル不倫が一気に発覚。AさんとCさんの妻は、それぞれBさんとCさんに対して慰謝料請求を検討し、離婚するかどうかの話し合いに発展した。
しかし、Bさんは「子どものためにも離婚は避けたい」、Cさんは「仕事を失いたくない」と強く希望。双方の弁護士が間に入りながら慰謝料を決定し、BさんとCさんは誓約書を交わして完全に連絡を絶った。
最終的にAさん夫婦は離婚を回避し、カウンセリングを受けつつ家族の再構築を目指す道を選んだ。一方、Cさん夫婦は結局離婚には至らなかったものの、Cさんが妻に多額の慰謝料を支払い、相当な精神的負担が残る結果となった。


8. まとめ:家族の未来を守るために

ダブル不倫は、一時的な刺激や「分かり合える相手」との出会いに魅力を感じて始まることが多いですが、その代償は非常に大きいものです。

  • 2つの家庭が同時に崩壊するリスク
  • 双方の配偶者から慰謝料を請求される可能性
  • 社会的信用の失墜、仕事への悪影響
  • 子どもや親族を含む周囲の深刻なダメージ

もしパートナーや身近な人がダブル不倫に陥っている、あるいは自分自身がその渦中にいるという場合は、できるだけ早急に専門家へ相談し、現状を正確に把握することが重要です。探偵による証拠収集が必要な場合もあれば、弁護士による法的アドバイスや、カウンセラーの心理サポートが効果的な場合もあります。

ダブル不倫がもたらす泥沼劇は、時に想像以上の被害を生む一方で、完全に再起不能というわけではありません。適切なサポートと誠実な行動次第で、どん底から抜け出し、再び家族を取り戻す道を選ぶことも可能です。しかし、そこに至るまでのプロセスは決して楽なものではなく、多くの辛い現実と向き合わねばならないことを肝に銘じておきましょう。


執筆者プロフィール

探偵歴20年、年間300件以上の夫婦問題・浮気・不倫相談を受ける現役探偵。数多くのダブル不倫事例を調査・サポートし、その複雑さと深刻さを痛感している。家族崩壊を未然に防ぐため、真実を解明し、早期解決へ導くための証拠収集とアドバイスを行っている。


一時の感情に流され、取り返しのつかない泥沼に陥らないためにも、「不倫は絶対にリスクが高い」という事実を改めて理解することが何より大切です。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です