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2026.07.04 コラム

現場ノート#009|「『なんとなく怪しい』は、意外と当たる。」──24年間、依頼者の“違和感”と向き合って分かったこと

梅澤 賢樹|総合探偵社R.A.D 代表・探偵歴24年

現場ノート#009|夜の住宅街で張り込む探偵と調査員の心構えを記したノート

24年間、浮気相談を受けてきて、一番多く聞いた言葉があります。

「証拠はないんです。でも、何となく怪しいんです。」

この「何となく」という言葉。

実は、私はとても大切にしています。

もちろん、「怪しい」と感じたからといって、浮気をしているとは限りません。

仕事が忙しいだけかもしれません。

家庭の悩みを一人で抱えているだけかもしれません。

体調を崩しているだけかもしれません。

だから私は、相談の時点で「浮気でしょう」と言うことは絶対にありません。

でも24年間で学んだことがあります。

長年一緒に暮らしてきた人の違和感は、驚くほど鋭いことがある。

人は「変化」に気づく生き物

依頼者に理由を聞くと、

最初は「分からない」と答える方が多いです。

でも話を聞いていくと、少しずつ出てきます。

「最近、帰宅してすぐお風呂に入るようになった。」

「スマホを裏返して置くようになった。」

「休日出勤が増えた。」

「香水をつけるようになった。」

「コンビニへ行く回数が増えた。」

一つひとつは小さな変化です。

どれも、浮気とは関係ない理由で説明できます。

でも依頼者は、その一つではなく、

“全体の空気”が変わった

と感じています。

一緒に暮らしている人には敵わない

探偵は、調査のプロです。

でも、対象者と24年間一緒に暮らしてきたわけではありません。

何時に起きるのか。

どんな話し方をするのか。

どんな癖があるのか。

いつ機嫌がいいのか。

それを一番知っているのは、やはり家族です。

だから私は、依頼者の違和感を軽く考えません。

本人にも説明できない違和感が、実は一番重要なヒントになることがあります。

「理由は後から見つかる」

ある依頼者が、こんなことを話していました。

「主人が帰宅した瞬間に、何か違うと思ったんです。」

何が違うのか聞いても、

本人も説明できませんでした。

でも調査が終わったあと、

「歩き方でした。」

と話されました。

仕事の日とは違う歩き方。

少し浮ついたような歩き方。

言われてみれば、そんなこともあるのかもしれません。

24年間で何度も感じるのは、

違和感には、後から理由が見つかることがあるということです。

探偵が最初にすること

相談に来られた方へ、私は最初から調査を勧めることはありません。

まず聞くのは、

「何が変わりましたか?」

です。

「怪しい理由は何ですか?」ではありません。

変化を聞きます。

帰宅時間。

休日。

服装。

スマートフォン。

車。

お金の使い方。

表情。

夫婦の会話。

そこから、一つずつ整理していきます。

すると、依頼者自身も頭の中が整理されていきます。

「違和感」は証拠ではない

ここは、とても大切です。

違和感は、

証拠ではありません。

だから、その違和感だけで相手を問い詰めることはおすすめしません。

実際、浮気ではなかったケースも数多くあります。

転職活動をしていた。

病気を隠していた。

会社で大きなトラブルを抱えていた。

家族を心配させたくなくて黙っていただけ。

理由は本当にさまざまです。

だから探偵の役目は、

違和感を「事実」で確認することです。

「問い詰めたあと」の相談

24年間で、少し残念に思うことがあります。

それは、

問い詰めたあとに相談へ来られるケースです。

「スマホを見た。」

「浮気してるでしょう、と聞いた。」

「相手が警戒してしまった。」

そうなると調査は難しくなります。

対象者は行動を変えます。

連絡手段を変えます。

会う場所を変えます。

調査期間も長くなることがあります。

だから私は、

違和感を覚えたとしても、

すぐ結論を出さないことをおすすめしています。

「勘」は経験から生まれる

依頼者の勘。

探偵の勘。

どちらにも共通していることがあります。

それは、

積み重ねた時間があること。

毎日顔を合わせている。

毎日同じ生活を見ている。

だから小さな変化に気づける。

探偵も同じです。

何千件もの現場を経験しているから、小さな違和感に気づくようになります。

勘とは、

特別な能力ではありません。

経験が積み重なった結果なのだと思います。

24年間で一番信じていること

私は、依頼者の話を最後まで聞きます。

たとえ、

「説明はできないんです。」

と言われても。

その言葉を否定したことはありません。

なぜなら24年間で、

「説明できない違和感」が、本当に大切な入り口だった現場を何度も見てきたからです。

もちろん外れることもあります。

だからこそ、

決めつけず、

疑いすぎず、

事実を積み重ねる。

それが探偵という仕事です。

編集後記

相談の最後に、私はよくこうお伝えします。

「違和感を信じてください。でも、違和感だけで判断はしないでください。」

この二つは、似ているようで全く違います。

24年間、現場で学んだのは、

人の勘には理由があること。

そして、

その理由を事実で確かめるのが探偵の役目だということ。

私はこれからも、その順番だけは変えずに仕事を続けていきたいと思っています。

次回予告

現場ノート#010「浮気調査は、証拠より“準備”で決まる。」──24年間で確信した、現場へ行く前に勝負は始まっている

「尾行が上手い人が優秀な探偵?」——違います。調査の勝敗は現場へ着く前に8割決まっています。24年間で確信した「準備の力」についてお話しします。

梅澤賢樹(総合探偵社R.A.D 代表・探偵歴24年)

執筆者

梅澤 賢樹(うめざわ まさき)

総合探偵社R.A.D 代表|探偵歴24年・年間1,500件超
埼玉県公安委員会 届出 第43230057号

24年間、現場の最前線に立ち続ける現役探偵。この連載は、個人が特定されないよう再構成した「現場の本物」の記録です。

👤 プロフィール・監修方針📊 浮気調査白書2026

連載「現場ノート」— 探偵歴24年、現場の本物を綴る

#001探偵として24年間、書けなかったことを書こうと思う#002ホテルよりコンビニが難しい理由#003「今日は動く。」──24年やっても説明できない“現場の勘”#004「尾行は走る仕事じゃない。」──新人が最初に勘違いすること#005「浮気をしている人ほど、家族に優しくなる。」──“罪悪感”というサイン#006「証拠写真を見た瞬間、部屋の空気が止まった。」──報告書をお渡しする日#007「実は、張り込み中は暇じゃない。」──探偵がずっと考えていること#008「調査はホテルで終わらない。」──証拠を撮ったあとが本当の勝負
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#010「浮気調査は、証拠より“準備”で決まる。」──勝負は現場の前に始まっている#011「浮気をする人は、嘘が上手いわけではない。」──“隠し方”の共通点

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