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2026.07.04 コラム

現場ノート#011|「浮気をする人は、嘘が上手いわけではない。」──24年間で見えてきた“隠し方”の共通点

梅澤 賢樹|総合探偵社R.A.D 代表・探偵歴24年

現場ノート#011|車内から撮影する探偵と「隠し方のサイン」を記したチェックリスト

「うちの夫(妻)は嘘が上手なんです。」

相談の席で、本当によく依頼者から聞く言葉です。

仕事の予定も自然。

休日出勤の理由も完璧。

帰宅が遅くなっても説明に矛盾がない。

スマートフォンも見せない。

「証拠なんて絶対に出ませんよね……。」

そう不安そうに話される方も少なくありません。

ですが、24年間、10,000件を超える浮気調査を経験してきた私が思うことがあります。

浮気をしている人は、決して嘘が上手いのではありません。

「嘘を一生懸命ついている人」が多いのです。

この違いは、とても大きいと感じています。

人は「嘘」を覚え続けられない

本当の出来事は、覚えようとしなくても思い出せます。

でも、作った話は違います。

昨日は「会議」。

今日は「接待」。

来週は「出張」。

その説明を、何週間、何か月も矛盾なく続けることは、想像以上に難しいものです。

24年間の現場では、決定的な証拠より先に、

「説明の小さなズレ」

が積み重なっているケースを何度も見てきました。

嘘は「話の内容」より「準備」で分かる

「今日は残業だから遅くなる。」

この一言だけなら、何も不自然ではありません。

でも、本当に残業がある人は、普段と変わらない準備をして家を出ます。

一方で、誰かと会う予定がある人は、出発前から少しずつ行動が変わることがあります。

鏡を見る時間が長い。

香水をつける。

靴を替える。

車を洗う。

財布の中身を確認する。

スマートフォンを何度も見る。

もちろん、それだけでは浮気とは言えません。

ですが、「今日は残業」という言葉と、出発前の行動が一致しない。

そんな小さな違和感を、現場では何度も見てきました。

本当に隠したいものほど、不自然になる

人は、不安が大きいほど確認する回数が増えるものなのです。

スマートフォンがポケットにあるか。

財布を持ったか。

鍵を閉めたか。

そして、浮気相手との連絡。

家を出る前。

エレベーターの中。

車に乗った瞬間。

信号待ち。

駐車場。

ほんの数秒でも画面を確認する人は少なくありません。

「見られたくない。」

その気持ちが強いほど、逆に意識が集中してしまうのでしょう。

「完璧な人」は、ほとんどいない

24年間で感じるのは、

完璧に隠し続けられる人は、本当に少ないということです。

どこかで気が緩みます。

いつもは消している通知。

たまたま鳴った着信。

助手席のシートの位置。

助手席に残ったレシート。

カーナビの履歴。

ガソリンを入れるタイミング。

コンビニへ寄る場所。

一つでは証拠にならないことでも、

積み重なると行動パターンが見えてきます。

探偵が見ているのは「嘘」ではない

意外に思われるかもしれません。

私たちは、

「嘘を見抜こう」

とは考えていません。

見ているのは、

行動です。

人は、どんな説明でもできます。

でも、行動は事実です。

18時に会社を出た。

18時40分に待ち合わせ場所へ着いた。

20時15分に飲食店を出た。

21時05分にホテルへ入った。

22時48分にホテルを出た。

23時30分に帰宅した。

そこには感情も言い訳もありません。

だから調査は、行動を積み重ねていきます。

嘘を責める仕事ではない

調査をしていると、

対象者へ怒りを感じませんか、と聞かれることがあります。

もちろん、人間ですから何も感じないわけではありません。

でも現場には、感情を持ち込まないようにしています。

私たちの役目は、誰かを裁くことではありません。

誰かを責めることでもありません。

事実を記録することです。

だから、「嘘をついている。」

ではなく、「こういう行動が確認できました。」

という報告になります。

それが探偵の仕事です。

嘘よりも、本当の姿が見える瞬間

24年間、現場で一番印象に残るのは、

嘘が崩れる瞬間ではありません。

警戒していた人が、待ち合わせ相手を見つけた瞬間に笑顔になる。

車から降りる足取りが軽くなる。

自然に手をつなぐ。

その姿を見たとき、「ああ、この人は無理をして隠していたんだな。」

そう感じることがあります。

人は、好きな人の前では、

思っている以上に自然な表情になるものです。

それは、どれだけ嘘を準備していても隠せません。

24年間で変わらないこと

携帯電話はガラケーからスマートフォンへ変わりました。

連絡手段もメールからLINEへ変わりました。

電話もビデオ通話へ。

浮気の始まりも、SNSやマッチングアプリが増えました。

でも、一つだけ変わらないものがあります。

それは、人は行動までは嘘をつけない。

言葉はいくらでも作れます。

理由も頭で考えられます。

でも、毎日の行動は、その人自身を映します。

だから私は、

言葉よりも、

行動を信じます。

24年間、現場でそう教えられてきました。

編集後記

新人調査員によく話すことがあります。

「相手の話を疑うな。相手の行動を見ろ。」

最初は意味が分からないようです。

でも現場を経験すると、その違いが分かってきます。

探偵は、嘘を暴く仕事ではありません。

事実を積み重ねる仕事です。

24年間、この考えだけは、一度も変わったことがありません。

次回予告

現場ノート#012「証拠写真より大切な一枚がある。」──24年間で報告書に必ず入れる写真

ホテルへ入る写真だけが重要だと思われがちですが、実は私が最も重視している写真は別にあります。依頼者や弁護士が「一番分かりやすい」と評価する、その一枚についてお話しします。

梅澤賢樹(総合探偵社R.A.D 代表・探偵歴24年)

執筆者

梅澤 賢樹(うめざわ まさき)

総合探偵社R.A.D 代表|探偵歴24年・年間1,500件超
埼玉県公安委員会 届出 第43230057号

24年間、現場の最前線に立ち続ける現役探偵。この連載は、個人が特定されないよう再構成した「現場の本物」の記録です。

👤 プロフィール・監修方針📊 浮気調査白書2026

連載「現場ノート」— 探偵歴24年、現場の本物を綴る

#001探偵として24年間、書けなかったことを書こうと思う#002ホテルよりコンビニが難しい理由#003「今日は動く。」──24年やっても説明できない“現場の勘”#004「尾行は走る仕事じゃない。」──新人が最初に勘違いすること#005「浮気をしている人ほど、家族に優しくなる。」──“罪悪感”というサイン#006「証拠写真を見た瞬間、部屋の空気が止まった。」──報告書をお渡しする日#007「実は、張り込み中は暇じゃない。」──探偵がずっと考えていること#008「調査はホテルで終わらない。」──証拠を撮ったあとが本当の勝負#009「『なんとなく怪しい』は、意外と当たる。」──依頼者の“違和感”#010「浮気調査は、証拠より“準備”で決まる。」──勝負は現場の前に始まっている
この記事「浮気をする人は、嘘が上手いわけではない。」──“隠し方”の共通点

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