メインコンテンツへスキップ
2026.07.07 コラム

現場ノート#016|「調査員は、対象者を嫌いにならない。」──24年間で学んだ“感情を持ち込まない”という仕事

梅澤 賢樹|総合探偵社R.A.D 代表・探偵歴24年

現場ノート#016|雨の夜の車内から記録する調査員と「調査の基本姿勢」を記したノート

「浮気をしている人を見ていると、腹が立ちませんか?」

24年間、この質問を何度受けたか分かりません。

依頼者からも。

弁護士の先生からも。

探偵を目指す若い人からも。

私の答えは、24年間ずっと変わっていません。

「現場では、怒らないようにしています。」

正確に言えば、

感情を持ち込んではいけない仕事だと思っています。

感情が入ると、先入観や思想が邪魔をして現場は見えなくなる

探偵は、人の人生の一番苦しい場面に立ち会います。

小さなお子さんがいる家庭。

結婚20年以上のご夫婦。

婚約中のカップル。

妊娠中の奥様。

さまざまな事情があります。

現場では、

「どうしてこんなことを…。」

そう思う場面も、もちろんあります。

でも、その感情を持った瞬間、

調査員ではなく、

“当事者”になってしまいます。

それでは正しい調査はできません。

私たち探偵は「裁く人」ではない

新人調査員へ最初に伝えることがあります。

「対象者を好きになる必要もない。でも嫌いになってもいけない。」

探偵には裁く権利がありません。

善悪を決める仕事でもないのです。

事実を確認する仕事です。

例えば、対象者が子どもと楽しそうに遊んでいる日があります。

翌日には、不倫相手と会っている日もあります。

その両方とも事実です。

都合のいい方だけを書くことはできません。

「悪い人」と決めつけない

24年間で学んだことがあります。

浮気をしている人が、

必ずしも悪人ではないということです。

もちろん、不貞行為は裏切りです。

依頼者が深く傷つくことも知っています。

しかし現場では、

仕事に一生懸命な父親もいます。

子どもの運動会へ行く母親もいます。

親の介護を必死にしている人もいます。

人は、とても複雑です。

だから私は、一つの行動だけで、

その人のすべてを決めつけないようにしています。

一番危険なのは「思い込み」

以前、新人調査員がこんなことを言いました。

「この人、絶対またホテルへ行きます。」

私は答えました。

「そう思った時点で危ない。調査に於いて絶対など存在しない。分からないから調査をしているのだから…」

結果は、

その日、対象者はまっすぐ帰宅しました。

思い込みは、

調査の視野を狭くします。

「悪い人だから。」

「浮気しているから。」

そう決めつけると、現場の変化が見えなくなります。

現場では、感情より記録

調査中、私が一番見るものは、

人の感情ではありません。

時計です。

時間。場所。行動。距離。順番。

誰と会ったか。

何処に入ったか。

何分滞在したか。

それだけを記録します。

後から報告書を書くとき、そこに感情は入れません。

「仲良さそうだった。」ではなく、

「腕を組んで歩いていた。」

「笑顔だった。」ではなく、

「約30秒間会話をした後、手をつないだ。」

事実だけを書きます。

一番難しい報告

依頼者へ報告書をお渡しするとき、

私は感情を抑えています。

一緒に怒ることもできます。

一緒に泣くこともできます。

でも、それでは依頼者は冷静な判断ができません。

探偵が冷静だからこそ、依頼者は安心して感情を出せる。

私はそう思っています。

それでも、人間だから…

「24年間、一度も感情が動かなかったんですか?」そう聞かれたら、それは違います。

調査が終わって車へ戻ったあと、

しばらく誰も話さない現場もありました。

報告書を書きながら、手が止まったこともあります。

依頼者のお子さんの写真がリビングに飾られていた。

対象者が帰宅して、何事もなかったように「ただいま」と言った。

そういう場面を見ると、いろいろ考えることはあります。

でも、現場では考えません。

考えるのは、現場が終わってからです。

「白だった」と伝える日もある

24年間で、浮気の証拠が出なかった調査もたくさんあります。

その報告をすると、涙を流して喜ばれる依頼者もいます。

私は、その瞬間も同じ姿勢でいます。

黒だから喜ぶ。

白だから残念。

そんなことはありません。

事実が分かった。

それだけです。

探偵の価値は、白も黒も、同じ重さで伝えることだと思っています。

依頼者の事情により黒で嬉しい人、黒で悲しい人、様々なのです。

24年間で一番大切にしてきたこと

現場では、依頼者の味方です。

でも、調査では中立です。

この二つは、似ているようで違います。

依頼者の味方だからこそ、間違った報告はできません。

期待に合わせて証拠を作ることもできません。

だから私は、24年間、

「感情より事実」

この言葉を大切にしてきました。

編集後記

若い頃、ある先輩に言われた言葉があります。

「探偵は、怒る仕事じゃない。見届ける仕事だ。」

その時は意味が分かりませんでした。

でも24年経った今、その言葉の重みがよく分かります。

怒ることは簡単です。

感情的になることもできます。

でも、依頼者が本当に必要としているのは、

怒ってくれる探偵ではありません。

最後まで冷静に、事実を届けてくれる探偵です。

私はこれからも、その姿勢だけは変えずに現場へ立ち続けたいと思っています。

次回予告

現場ノート#017「対象者が突然こちらを見た。」──24年間で何度も経験した“心臓が止まりそうになる瞬間”

尾行中、対象者が突然こちらを振り返る。車を停めて降りてくる。目が合う。探偵なら誰でも経験する“ヒヤリ”とした瞬間と、その時にベテラン調査員が絶対にやらない行動についてお話しします。

梅澤賢樹(総合探偵社R.A.D 代表・探偵歴24年)

執筆者

梅澤 賢樹(うめざわ まさき)

総合探偵社R.A.D 代表|探偵歴24年・年間1,500件超
埼玉県公安委員会 届出 第43230057号

24年間、現場の最前線に立ち続ける現役探偵。この連載は、個人が特定されないよう再構成した「現場の本物」の記録です。

👤 プロフィール・監修方針📊 浮気調査白書2026

連載「現場ノート」— 探偵歴24年、現場の本物を綴る

← 前話 #015「今日は何もありませんでした。」──“空振り調査”にしかない価値次話 #017 →「対象者が突然こちらを見た。」──“心臓が止まりそうになる瞬間”📚 連載目次|現場ノートの全話一覧を見る

その不安、探偵歴24年のプロにご相談ください

探偵歴24年・年間1,500件超の実績。ご相談・お見積りは完全無料、秘密厳守で対応します。24時間365日・匿名OK、しつこい営業は一切ありません。

0120-55-0068 LINE相談
電話相談 LINE相談