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2026年7月23日 探偵コラム

「会社のお金を盗んでいる」は本当だったのか——横領・不正経費を事実確認した企業調査の実録と、見抜く5つのポイント

梅澤 賢樹|総合探偵社R.A.D 代表・探偵歴24年目

会社のお金を盗んでいるは本当だったのか——横領・不正経費を事実確認した企業調査の実録と見抜く5つのポイント|総合探偵社R.A.D

「経理担当が何億円も横領していた。」「長年にわたり会社のお金を着服し、逮捕。」——こうしたニュースを目にしたことがある方は多いのではないでしょうか。

しかし、探偵歴24年の中で私が企業から相談を受けるのは、そうしたニュースになるような事件ばかりではありません。むしろ圧倒的に多いのは、次のような「何かおかしい」という違和感から始まる相談です。

調査を進めると、本当に横領や私的流用が確認されることもあります。一方で、仕事と私用の境界が曖昧になっていただけ、会社のルール自体が不十分だった、噂だけが先行していた——そんなケースも決して少なくありません。

24年間の企業調査で感じるのは、ニュースで報じられる巨額横領は氷山の一角だということです。その裏では、数万円〜数百万円規模の経費不正や私的流用の疑いについて「事実を確認してほしい」という相談が数多く寄せられています。そして多くの企業が本当に知りたいのは、「社員を処分したい」ではなく「実際に何が起きているのか」という事実です。

※実例は個人・企業が特定されないよう、年代・時期・業種など一部の要素を改変しています。

「営業部の経費が異常に多い」

依頼したのは関東圏のサービス業でした。きっかけは、経理担当者の小さな違和感です。ある営業社員だけ、毎月の接待費がほぼ上限まで申請されている。タクシー代も突出。休日出勤も多い。それにもかかわらず、営業成績は他の社員と大きく変わりません。

社内では「会社のお金で飲み歩いているんじゃないか」「経費を私的に使っているらしい」という噂まで出始めていました。しかし会社は、その噂だけで処分することはしませんでした。「本当に不正があるのか。あるとすれば、どこまでが業務で、どこからが私的利用なのか。」それを第三者として確認してほしい——それが今回のご依頼でした。

初日の調査——申請どおり、しかし午後9時から

対象者は午後6時、「取引先との会食」として経費申請していた飲食店へ向かいました。実際に取引先もいました。ここまでは申請どおりです。

しかし午後9時。取引先は帰宅し、対象者は一人になると思われました。ところが、友人と思われる男性2人と合流し、二次会へ。支払いは会社名義の法人カードでした。

一度では判断しない

営業という仕事では、二次会が仕事になることもあります。そこで日程を変えて調査しました。

2回目——本当に取引先との二次会でした。

3回目——今度は家族との食事を、出張経費として処理していました。

報告書で分かったこと——三つの混在

調査と経費資料を照合すると、①業務上必要な接待 ②私的な飲食 ③家族との食事の三つが混在していました。すべてが不正ではないことも確認できました。一方、明らかに私的利用だった経費も複数確認されました。

会社の判断——解雇ではなく、返還とルール改定

会社は懲戒解雇を選びませんでした。私的利用分の返還。始末書の提出。経費承認フローの見直し。法人カード利用ルールの改定。経費精算時の領収書添付義務。その後、経費不正は大幅に減少しました。

横領・経費不正・社内不正の事実確認|企業様の法人調査に対応します

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経費不正を疑ったとき確認すべき5つのポイント

① 同じパターンが続いているか

毎週同じ曜日。毎月同じ金額。単発ではなく継続性を見ます。

② 実際の行動と申請が一致しているか

申請内容だけでは判断できません。「接待」と申請された時間に、実際に誰とどこにいたのかの突合が核心です。

③ 誰と会っているか

取引先か、友人か、家族か。実例のように三つが混在していることもあります。

④ 支払い方法

法人カードか、現金か、個人カードか。私的な場面での法人カード利用は明確なシグナルになります。

⑤ 第三者から見ても説明できるか

社内の噂や心証ではなく、客観的事実として説明できるか。処分にも不処分にも耐える材料が必要です。

探偵として感じたこと——「全部黒」も「全部白」もほとんどない

24年間で学んだことがあります。企業調査では「全部黒」も「全部白」もほとんどありません。実際には、仕事と私用が曖昧になり、本人もルール違反という認識が薄いケースが少なくありません。だからこそ、会社は感情ではなく事実で判断しなければなりません。

この案件で社長が言った言葉があります。

「疑っていた社員を辞めさせるためではなく、会社のルールを見直すための調査だった。」

企業調査は、誰かを追い詰めるために行うものではありません。事実を確認し、再発を防ぎ、会社を守るために行うものです。それが24年間、企業調査を続けてきた私の考えです。

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